平成31年 元旦
新しい年を迎えて抱負などを一言…。
「クライエントの権利を授与されたソーシャルワーカーはソーシャルワーカーたりうるのか」
ソーシャルワーカーとして成年後見事務に違和感をかんじながらこなしてきました。
ソーシャルワーカーの立ち位置は「クライエントのベストインタレスト」を尽くすこと、さすれば権限を持つことはあり得ない。
では、裁判所から与えられた権限の行使はどうすればいいのか。
悩み続けながら…。
最近、どうも「成年後人としての権限行使か、ソーシャルワーカーとしての受容か」という二者択一ではないようであると思いはじめた。
成年後見制度の利用者は必ずなんらかの生活の危機が背景にあるようです。
しかしながら、当センターへの相談は「預金が凍結されました。」「契約できません。」と成年後見制度利用を前提としたものがほとんどです。
裁判所からの受任も金銭管理を主とした支援とか、身上監護が必要といった対応を求められる。
そこでは本人を抜きにした制度の利用や後見プランが立てられる。
「本人は意思能力を欠いているから仕方がないかな」と自問自答しながら。
ここでは成年後見人が権限を持つことに何の疑問も持つことはない。
そして悩み続ける…。
実は、成年後見制度利用の背景には常にソーシャルワークの「危機理論」があるのである。
だから本来、申立時にこの危機についてソーシャルワークの理論・モデルに基づいたアセスメントがなされているべきである。
しかし、実情は趣意書による申し立て理由を垣間見る程度で後見事務を始めている。
だからこそ、当センターに寄せられる成年後見制度利用ありきの相談については、危機理論に基づくアセスメントからアプローチされるべきである。
クライエントの危機を構成するものは何か、クライエントはどのような感情不安、身体症状の脆弱性を体験しているのか、そしてどのように取り戻そうとしているのか、
このような視点に立つことによって少しでも「クライエントのベストインタレスト」に寄り添えるのではないかと思う。
こんな思いから、今年はインテーク時にソーシャルワークの理論・モデルに基づく「危機理論」を丁寧に進めていこうと思っているところである。